健康診断事業の業務改革事例 | 利益100万円から2,000万円へ、20倍の生産性向

結論(成果を先に)

3つの大きな成果

利益が20倍に成長

100万円 2,000万円

年間利益100~200万円から2,000万円へ

バックオフィス人員30%削減

約3名の人員削減を実現

業務標準化により大幅な効率化

誰でもできる体制

属人化を完全解消

ミスのない業務運営が可能に

改善前の課題と改善後の変化

Before

改善前の課題

業種の特性:巡回健康診断事業

バスで現地に乗り付け、ドクターや看護師が企業や団体に出向いて健康診断を実施する、巡回健診というビジネスモデル。

深刻だった3つの問題

古い・非効率な業務プロセス

オフィスを歩けば、手入力作業だらけの「前時代的」な風景。Excelすら部分的にしか使われておらず、見積書作成から当日運営までシステム化されていない

完全な属人化・ブラックボックス化

業務が完全に「人についている」状態。その人がいなくなったらできなくなる仕事だらけで、標準化ゼロ、引き継ぎ不可能な状態

見えない生産性、薄い利益

年間利益はわずか100~200万円(ほぼ赤字スレスレ)。案件ごとの収益性が全く見えず、人件費管理が感覚頼み。高コストの人材を直前手配することも

「コロナ禍で3ヶ月前までの人材手配ルールが存在せず、1ヶ月前に慣てて手配。自社の安価で信頼できる人材は既に予約済みで、紹介会社経由で高額な人材を調達せざるを得ず、人件費が急騰」

典型的な問題事例:コロナ禍での人件費高騰
After

改善後の変化

数字で見る圧倒的な成果

項目 改善前 改善後
年間利益 100~200万円 2,000万円
利益成長率 約20倍
バックオフィス人員 30%削減(約3名減)
業務標準化 ゼロ 全フロー完全標準化

業務品質の劇的向上

誰でもできる・ミスがない体制
  • 属人化を完全解消、新人でもマニュアル通りに業務遂行可能
  • データベース化により、入力ミスや手配漏れが激減
効率化による人員削減
  • 標準化とシステム化により、バックオフィス業務が大幅に効率化
  • 約3名分(30%)の人件費削減を実現
収益性の完全コントロール
  • 見積段階で収益性を判断し、不採算案件を受注しない体制
  • 実績データで「なぜこの案件は人件費が高騰したのか」が即座に分析可能
  • 翌日には改善策を策定し、次回契約に反映
顧客管理の高度化
  • 解約理由、クレーム履歴がデータベースで一元管理
  • 問題顧客は契約条件を厳格化、または受注しない判断が可能

やったこと(施策)

01

業務の完全標準化

受注前から当日まで全フローを標準化

  • 見積書作成段階:売上・人件費率の基準を明確化
  • 受注・予約段階:顧客データベース化、契約条件の標準化
  • 手配段階:人員・車両・機器の配置ルール確立
  • 当日運営:データ入力・作業フローのマニュアル化

「3ヶ月前ルール」の徹底

  • 健診実施日の3ヶ月前までに、人員・車両・機器の手配を完了させるルールを策定
  • システムでフラグ管理し、期限を過ぎると警告表示
  • 結果、自社の低コスト人材を確保でき、人件費が劇的に改善
02

データベース化による「見える化」

全業務データをシステムで一元管理

  • 顧客マスタ:企業情報、契約条件、過去のクレーム履歴
  • 人材マスタ:医師・看護師・検査技師のスキル(採血可否など)、稼働実績
  • 案件マスタ:見積額、実際の参加人数、売上、人件費、粗利
  • 実績データ:予定と実績の差異、問題発生時の原因と対策

リアルタイム管理の仕組み

  • 当日の勤怠データを翌20日までに確定
  • 自動集計により、案件ごとの収益性が即座に可視化
  • 問題案件は翌日にアラート、原因分析と対策を即座に記録
03

収益性の徹底コントロール

2つの絶対基準を設定

  • 売上50万円以上:これ以下の案件は原則受注しない
  • 人件費率35%以下:見積段階でこの基準を守る

PDCA サイクルの確立

  • Plan(計画):見積段階で売上・人件費率をシミュレーション、基準を満たさない案件は受注しない
  • Do(実行):予算通りの人員配置を徹底
  • Check(検証):実績値を取得し、計画との差異を分析
  • Action(改善):問題が発生した案件は翌日に原因と対策を記録、次回受注時の条件変更へ反映

ペナルティ条項の導入

  • 「50人の予定が当日35人」など、極端な人数減少が頻発していた問題に対処
  • 契約時に「参加人数が○○人を下回った場合、10万円のペナルティ」などの条項を設定
  • 顧客側も安易な人数水増しができなくなり、適正な契約が実現

担当者よりひとこと

「数字が見えない」ことの恐ろしさ

「生産性を上げましょうと言っても、数字が見えないと結局上げられない」

改革前は、感覚で業務を回していたため、不採算案件を受注し続けていました。「50万円で契約したのに、当日35万円分しか実施しなかった」「コロナ禍で人件費が急騰したが、原因が分からない」——こうした問題が日常茶飯事でした。

業務標準化とシステム化の両輪

この改革の核心は、業務標準化とデータベース化を同時に進めたことです。

1

標準化だけでは不十分

マニュアルを作っても、守られているか検証できない。問題が発生しても、原因分析ができない。

2

システム化だけでも不十分

業務フローが整理されていないと、システムに落とし込めない。データを取っても、活用方法が分からない。

両方を同時に進めることで、「誰でもできる」「問題が見える」「即座に改善できる」という好循環が生まれました。

これから改善に取り組む方へ

システム導入の前に、まず業務を整理せよ

高額なシステムを導入する前に、以下の3つを徹底してください:

  • 業務フローの標準化:誰がやっても同じ結果になるプロセスを設計
  • データの見える化:案件ごとの売上・コスト・粗利を必ず記録
  • PDCAの仕組み化:問題が発生したら翌日に原因と対策を記録し、次に活かす

これができれば、利益20倍も決して夢ではありません。「見える化」こそが、生産性改革の出発点なのです。

「300人以下の中小企業では、こうした標準化がないところが本当に多い」——規模が小さいからこそ、一人ひとりの生産性が経営に直結します。

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この記事を書いた人

JNEXTグループ編集部は、税務・会計・労務・DXなどの複雑な情報を、初めての方にも分かりやすく届けることを目的に活動しています。税理士、社会保障監修のもと、正確で実務に役立つ内容を丁寧に解説し、読者の不安を少しでも減らせる記事づくりを心がけています。