「創業融資を受けるために創業計画書を作成したい」とお考えではありませんか?
実は創業計画書のみでは創業融資を受けるのは難しく、別に事業計画書が必要です。
このページでは、年間60社(5億円の融資実績)の起業サポートをしている税理士法人が、創業計画書とは?といった基本的なことから、テンプレート、事業計画書と創業計画書の書き方、代行先までご案内します。
「創業融資を絶対受けられる創業計画書を作成したい」とお考えでしたら、ぜひ参考にしてみてくださいね。
1.創業計画書とは、融資審査の最重要書類 2つのポイントで解説
創業融資を申込む場合、創業計画書は必須であり融資の可否を決める最も重要な書類です。
ポイントは、融資担当者に「この人になら貸して大丈夫」と思わせることです。
つまり具体性かつ信憑性が求められます。
【ポイント①】曖昧な数値を使わないためにも事業計画から手をつける
創業計画書の「7 必要な資金と調達方法」「8 事業の見通し」はスラスラ書けますか?
ココは創業計画書の一番の肝ですので、苦労する部分ではないでしょうか。
例えば、売上高はどうやって決めますか?
「えーい、200万円だ!」
確かにこうすればとりあえず書けます。
しかし、面談で質問をされたら何と答えますか?
曖昧に作った数値はすぐばれます。
例えば飲食店を開業しようとしているAさんとBさんに対して売上の根拠を求めた回答が以下だった場合
Aさん「大体200万円位だと思うので・・・」
Bさん「客単価を3,500円で想定し、月曜から木曜の来客数は…、金曜は華金なので…、週末は…。よって、月間売上は3,500円×570人=約200万円」
融資担当者は、どちらを「この人なら大丈夫」と感じるでしょうか。
これらの根拠を示すためにも事業計画書が必要なのです。
事業計画書は、テンプレートを使えば、簡単に作れます。
さらに事業計画書を作成することによって、創業計画書を楽に具体的に作ることができます。
【ポイント②】創業計画書に事業計画書を付ければ融資担当者に好感触
創業計画書の右下には以下のように記載してあります。
「他に参考となる資料がございましたら、併せてご提出下さい。」
せっかくできた「事業計画書」は有効活用し、参考資料として提出しましょう。
これがあれば面談も怖くありませんし、何より融資担当者から好感触を得られます。
融資担当者は面談の際、創業計画書を見ながら、色々なことを質問してきます。
というのも、このあと、上司や審査部門あてに稟議書を作成するためです。
ヒアリングでは、曖昧であったり、断片的であったりすることはよくあります。
融資担当者がどれだけ、真剣かつ具体的に稟議書を書けるかが重要なポイントなのです。
2.創業計画書(事業計画書)のテンプレート【JNEXTオリジナル、公庫、保証協会】
次項で書き方をご案内しますので、まずは創業計画書と事業計画書のテンプレートを以下よりダウンロードしておいてください。
公庫を利用する場合は【JNEXTオリジナル版】事業計画書と【日本政策金融公庫版】創業計画書が必要です。
【JNEXTオリジナル版】事業計画書
【日本政策金融公庫版】創業計画書
PCで入力する方は、エクセル形式で、手書きの方はPDF形式をダウンロードしてくださいね。
【保証協会(東京信用保証協会)版】創業計画書
3.まずは創業計画書ではなく事業計画書を作るための5つのSTEP
少し遠回りをしている気がするかもしれませんが、まずは事業計画書を5つのステップで完成させましょう。
融資が成功するか否か、事業がすぐに軌道に乗るか否かを決める大事な作業と考えて取り組んで下さいね。
事業計画書は、自分の行いたい事業を他人(ここで言うと金融機関)に分かってもらい、支援(融資)してもらうことが目的であることを念頭におきましょう。
【STEP①】事業概要を記載
まずは事業概要として、代表者プロフィール、事業内容、競合・市場概要を記入します。
◆代表者プロフィール
くどいようですが、融資担当者から信用されることが目的です。
そのためには、起業する仕事をなぜ成功させられるのかを、念頭におき、自身の経験、強みを記入しましょう。
金融機関では、同業種での経験の有無、マネジメント経験などを気にする傾向があります。
◆事業内容
どんな事業を行うのかを具体的に記入しましょう。
取扱商品・サービス、セールスポイント、販売ターゲットは創業計画書を作成する際にも記入を求められますのでこれらの内容を踏まえて記入くださいね。
もしパンフレットやメニューがあれば、それらを添付することで面談担当者のイメージを膨らませることができます。
◆競合・市場概要
市場調査といってもマーケティング会社が行うようなものである必要はありません。
その物件を選んだ理由や戦略はおぼろげでもあるはずです。
もしそれがないのであれば今すぐに営業予定地に行って、近隣にどんな競合があるのか、人の流れはどうか、どうやって自店に呼び込むのかを答えが出るまで考えましょう。
【STEP②】投資計画を立てる
投資計画とは、事業を始めるために必要なものとそれにかかる費用はどれくらいかという計画です。
飲食店の場合、大きく分けると店舗取得に関するものと店舗の内装や厨房機器、それ以外の開業時にかかるものの3つに分けられます。
当初運転資金という項目がありますが、これは厳密に考えると投資計画ではありませんが、その後の資金計画に必要となるため記入してください。
もし、支払が現金(振込含)ではなく、割賦やリースで購入する場合、最初にお金は出ていきませんので、支払欄を「割賦・リース」にして下さい。
合計行(最終行)の現金欄の金額が、創業時に必要な金額です。
【STEP③】売上計画を立てる
飲食店の場合、ランチとディナーでは、客単価が異なるはずです。
まずは想定の平均客単価を決めましょう。
次に、1日あたりの客数を、曜日やランチ・ディナーの区分ごとに入力します。
全て入力すれば、最終行に月間売上高が表示されます。
【STEP④】損益計画を立てる
損益計画とは、置き換えれば利益計画です。
売上高の金額に、STEP③で作成した売上計画の数値が自動的に表示されます。
仕入高の構成比とは、原価率のことです。
原価率は業種により異なります。
もし自身の経験から判断できなければ、インターネットで「○○業 原価率」といったキーワードで検索してみるのも手です。
ちなみに飲食店の場合は、居酒屋やラーメン屋等で若干異なりますが約30%。
経費としてかかる人件費、家賃、支払利息は入力必須項目です。
支払利息はSTEP⑤を入力することで反映されます。
その他、毎月かかる経費(駐車場、水道光熱費等)を入力してください。
また、STEP②でリースにしたものは、リース料に毎月の支払額を入力します。
割賦の場合は、借入ですので、ここには入力せず、返済可能額の中で計算します。
オーナー(社長)の給与ですが、法人と個人では考え方が違いますので、注意が必要です。
法人の場合は、役員報酬として人件費へ入れますが、個人事業の場合、人件費に入れてはいけません。
というのも本来であれば、残った利益全てはオーナーの給与になるためです。
しかし、この計画では、オーナー給与欄に入力してください。
営業利益からオーナー給与を引いて「返済に回せる金額はいくらなのかを出す」ことがこの計画の最大の目的です。
【STEP⑤】資金計画を立てる
いよいよ最後のSTEP(資金計画)です。
投資計画で計算した必要資金に対して、この金額をどこから調達するかを考えます。
まず自分で用意できる自己資金と親、兄弟等から借入できる金額を入力すると、金融機関に借入しなければいけない金額がハッキリします。
自己資金は、認められるものと認められないもの、グレーなものがあり、注意が必要です。
「自分の自己資金は認められるものか心配」な方は、以下の記事をチェックしてみてくださいね。
[blogcard url=”https://www.paton-l.com/founded-loan/ownfund/”]
自己資金の金額にもよりますが借入必要額が、1,000万円以下の場合には公庫だけの借入で間に合いますので、日本政策金融公庫の欄に借入必要額全額を入力してください。
1,000万円を超える場合は、その他の金融機関での借り入れが必要です。
続いて、返済計画の金融機関名と借入金額が表示されている行に対して、金利と返済期間を入力します。
そうすることで月あたりの返済金額が表示されます。
最後に返済原資(月額)チェックの差額欄がプラスの数値になっていることを必ず確認して下さい。
この数値がマイナスになっていると返済可能額を返済金額が上回ってしまっている状態です。
このまま金融機関に持ち込むと間違いなく融資を受けられませんので、計画内容を見直してくださいね。
4.主に流し込み作業でOK!日本政策金融公庫の創業計画書の9項目の書き方(記入例付)
いよいよ公庫へ提出する創業計画書の入力です。
「また計画書の作成か…」
と思われた方もいらしゃるでしょうが、安心してください。
ここからは、先程作成した事業計画書から、ほぼ書き写すだけでOKです。
【項目①】創業の動機
事業計画書のSTEP①の代表者プロフィールに記入した内容を転記しましょう。
【項目②】経営者の略歴等
事業計画書のSTEP①の代表者プロフィールに記入した内容を転記しましょう。
【項目③】取扱商品・サービス
事業計画書のSTEP①の事業内容と競合・市場概要に記入した内容を転記しましょう。
【項目④】取引先・取引関係等
以下3ヶ所の取引先・取引関係等を記入します。
・仕入先
・外注先
販売先ですが、飲食店の場合、基本的には個人相手のシェア100%です。
個人客の場合、所在地は不要、条件は即金でOK。
この項目で重要なのは仕入先です。
飲食店の場合、創業計画書を作成する時点で具体的な仕入先がないとマズいです。
「仕入先もなく、具体的に計画が進むのか」とツッコまれます。
また、きちんと計画通りに進んでいることを伝えるためにも、契約書や注文書があると効果的です。
外注先は、基本的に創業時にはありませんので、ない場合は空白にしておいてください。
人件費の支払には、従業員の給与を、いつ〆て、いつ支払うのかを記入します。
ボーナスを支給する予定があれば、支給月も記入してください。
【項目⑤】従業員
もし法人の場合は、常勤役員の人数を記入してください。
常勤役員とは常に会社にいる役員のことです。
創業時だと1人役員の印象があるかもしれませんが、もし事業を一緒にやる人や妻または夫等を役員に入れる場合は、人数に含めてくださいね。
【項目⑥】お借入の状況
代表者の方の個人的な車や住宅ローンといった借り入れの状況を記入してください。
【項目⑦】必要な資金と調達方法
事業計画書のSTEP⑤の資金計画の下部を参照の上、転記してください。
内訳の部分は、補足してくださいね。
【項目⑧】事業の見通し(月平均)
事業計画書のSTEP④の損益計画の下部を参照の上、転記するのみです。
【項目⑨】自由記述欄
基本的に記述不要です。
入れるとしたら「詳しくは事業計画書をご確認ください。」程度で問題ありません。
5.創業計画書(事業計画書)をどうしても自分で作れないなら専門家に代行する!
やっぱり自分で作るのは心配という方は税理士やコンサルタントに代行してもらうのも手です。
代行業者を選ぶポイントは、下記の2点を満たせるところが良いです。
・金融機関とのつながりがあり、直接書類を持ち込んでくれること
今回の目的は、あくまでも融資を受けられることです。
そのための事業計画です。
事業計画の作成だけでは、目標は達成できず事業断念となりかねません。
慎重なパートナー選びが必要です。
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