創業融資

中小企業経営力強化資金のキホン 融資上限額アップ!自己資金なし!

「中小企業経営力強化資金ってどんな制度なんだろう?」

「新創業融資制度と中小企業経営力強化資金、どっちがいいの?」

とお考えではありませんか?

代表的な創業融資である新創業融資制度の融資上限額は実質1,000万円です。

でも、創業にはお金がかかるので、「この金額では足りない」という方もいらっしゃいますよね。

そこで、中小企業経営力強化資金であれば2,000万円までの融資を受けることができるのです。

このページでは、年間60社(5億円の融資実績)の起業サポートをしている税理士法人が、中小企業経営力強化資金と新創業融資制度のどっちがいいのか、中小企業経営力強化資金の基本情報・メリット・デメリット・利用手順をご案内します。

「中小企業経営力強化資金を利用して、創業融資を受けたい!」とお考えでしたら、ぜひ参考にしてみてくださいね。

1.公庫の創業融資(中小企業経営力強化資金と新創業融資制度)の比較

1.公庫の創業融資(中小企業経営力強化資金と新創業融資制度)の比較

ご存知の方もいらっしゃるでしょうが、日本政策金融公庫の創業融資で利用できる制度は、中小企業経営力強化資金と新創業融資制度の2択です。

それでは多くの創業者はどちらの制度を選ぶのでしょうか?

ズバリ結論をお伝えしておきますと「新創業融資制度」です。

中小企業経営力強化資金新創業融資制度
対象独自性ある事業を行う方これから事業を始める人(2期以内)
実質的な上限金額2,000万円1,000万円
金利2.26~2.27%2.51~2.58%(基準利率)
実質的な自己資金要件1/3よりは緩い1/3程度
報告義務不要
実質的な返済期間5~7年以内5~7年以内
資金使途運転資金・設備資金運転資金・設備資金
担保・保証人不要不要
備考認定支援機関のサポート必須
FC不可

この表からもわかるように、中小企業経営力強化資金の方が、自己資金要件が緩く、金利も低く、借りられる金額も大きく、メリットだらけです。

しかし、先程もお伝えしましたが、多くの創業者は、「新創業融資制度」を利用しています。

なぜなら、中小企業経営力強化資金を利用するには、認定支援機関のサポートを受ける必要があったり、独創的なビジネスである必要があったり、正直に言うと面倒くさい条件があるためです。

もしあなたが、融資額1,000万円以内で、自己資金を融資額の1/3程度用意できる方であれば、新創業融資制度を、融資額1,000万円超で、独創的なビジネスを行い、報告の手間を惜しまない方であれば、中小企業経営力強化資金の利用を検討してくださいね。

2.中小企業経営力強化資金とは?7つの基本情報

2.中小企業経営力強化資金とは?7つの基本情報

中小企業経営力強化資金とは、認定支援機関のサポートを受けることで利用できる日本政策金融公庫の融資制度です。

それではこの中小企業経営力強化資金についての基本情報を7つご案内しますね。

【基本情報①】対象

中小企業経営力強化資金は、「利用できる人」と「利用できない人」がいます。

日本政策金融公庫のHPでは下記のように出ています。

ご利用いただける方

次のすべてに当てはまる方

  1. 経営革新又は異分野の中小企業と連携した新事業分野の開拓等により市場の創出・開拓(新規開業を行う場合を含む。)を行おうとする方
  2. 自ら事業計画の策定を行い、中小企業等経営強化法に定める認定経営革新等支援機関による指導及び助言を受けている方

引用:日本政策金融公庫
https://www.jfc.go.jp/n/finance/search/64.html

それぞれ解説しますね。

1は、簡単にいうと独自性あるニュービジネスを行う方ということです。

どの程度の独自性が必要かというと難しいですが、一般的な飲食店や美容室では対象になりません

2は、中期(3年間)の事業計画をしっかり作って、国からお墨付きをもらっている認定支援機関から助言をもらっている方ということです。

認定支援機関は経済産業省の管轄です。

つまり中小企業経営力強化資金とは、国の「中小企業の成長戦略」に基づいた政策なのです。

【基本情報②】上限金額

中小企業経営力強化資金の上限金額は、2,000万円です。

新創業融資制度の上限金額1,000万円に対して、ココが最大のメリットです。

「あれ?公庫のホームページに記載されている、上限金額(7,200万円)と違うけど…」

と思われた方もいっらしゃるでしょうが、これらの金額は当事務所の経験から判断した実質的なものです。

というのも、公庫の審査には支店決済と本店決済があり、支店決済は上記の金額までであるためです。

本店決済の場合、ハードルがとても高く、相当しっかりした計画を提出する必要があったり、本店からの指摘があると担当者自身の評価につながったりするので、懸念されてしまいます。

【基本情報③】金利

中小企業経営力強化資金の金利は、2.26~2.27%です。

ちなみに以前は1%台でした。

とは言え、メガバンクやカードローンと比べれば低いことには変わりありませんね。

【基本情報④】自己資金要件

中小企業強化資金は、公庫のサイトにも記載されておりますが、自己資金は不要です。

しかし、実質的には不要ではありません。

というのも、自己資金は創業しようと準備してきた計画性の証であるためです。

公庫に限らず金融機関は、計画性がない方には融資をしません

新創業融資制度ほど、厳格ではないという程度だと捉えていてください。

【基本情報⑤】返済期間

中小企業経営力強化資金の返済期間は、5~7年以内です。

資金使途が運転資金の場合は5年、設備資金の場合は7年です。

この数字も上限金額と同じく、当事務所の経験から導かれた実質的なものです。

【基本情報⑥】資金使途

先程も出てきましたが、資金使途は運転資金か設備資金に限定されます。

運転資金であれば、家賃・人件費といった事業運営に必要な経費、設備資金であれば、店舗の内外装費・車両費といった事業に必要な主に固定資産が対象です。

【基本情報⑦】担保・保証人

中小企業経営力強化資金の利用には、担保と保証人が必要ありません

ただし、担保を用意することで、担保価値の分だけ上限金額を引き上げられ代表者が保証人になれば、金利を0.1%引き下げられます。

3.中小企業経営力強化資金の2つのメリット

3.中小企業経営力強化資金の2つのメリット

中小企業経営力強化資金のメリットは、ずばりこの2つです。

【メリット①】上限金額が2,000万円である

先程もご案内しましたが、上限金額が2,000万円であることは最大のメリットです。

他の創業融資の場合、1,000万円が上限金額なので、わざわざ手間暇かかる中小企業経営力強化資金を選択する理由はこのためです。

【メリット②】自己資金要件がない

こちらも先程ご案内しましたが、正確には自己資金要件がないではなく、緩いです。

自己資金なしでは、まず審査に通りません。

新創業融資制度よりも緩い程度と認識ください。

例えば、自己資金が300万円の場合、新創業融資制度であれば、約1,000万円の融資を受けることができます。

対して、中小企業経営力強化資金であれば、1,500万円の融資を狙うことができるということです。

4.中小企業経営力強化資金の5つのデメリット

4.中小企業経営力強化資金の5つのデメリット

中小企業経営力強化資金には、2つのメリットがありましたが、デメリットは5つあります。

【デメリット①】認定支援機関(税理士など)のサポートを受ける必要がある

あなたが作成した事業計画書に対して、認定支援機関の指導・助言を受ける必要があります。

さらに上記で作成した計画書へ、認定支援機関の所見・評価といったコメント、連絡先・押印をもらい、完成させる必要があるのです。

機関によってですが、創業融資のサポート費用とは別に事業計画書の作成手数料を取ったり、顧問料を通常より高くしたりすることがあります。

問い合わせの際など、事前に確認してみてくださいね。

【デメリット②】報告義務がある

日本政策金融公庫には年1回、認定支援機関には年2回(半年ごと)の報告義務があります。

計画通りに進んでいるのか、いないとしたらなぜなのか、今後の対応を報告書にまとめなくてはいけません。

具体的にどんなことを書けばいいのか知りたい方は、以下より報告書のテンプレートをダウンロードして確認してみてくださいね。

事業計画進捗報告書テンプレート|日本政策金融公庫

【デメリット③】FC(フランチャイズ)は利用できない

先程もご案内しましたが、独自性あるニュービジネスで新規市場を開拓する方が対象です。

フランチャイズは本部のノウハウやブランド力で成り立つビジネスですので、対象ではありません。

またフランチャイズでなくとも、どこにでもある飲食店や美容室ではNG/span>です。

もし「自分がやろうとしている事業は対象なのかな?」と不安でしたら、認定支援機関に対象かどうかを確認してみてくださいね。

【デメリット④】繰り上げ返済ができない

「売上がドンッと上がって資金に余裕ができたから一括で返済しようかな」

こんな場合であっても、繰り上げ返済はできません

あくまでも計画通りに返済する必要があります。

【デメリット⑤】事業計画書が必要である

新創業融資制度であれば、事業計画に対しての提出書類は創業計画書のみです。

しかし中小企業経営力強化資金を利用するには、創業計画書と事業計画書を提出する必要があります。

事業計画書は、3ヵ年計画や課題とその対策案、定量目標と行動計画など、より詰めた計画です。

そもそもですが、事業計画書を作成できないのであれば、中小企業経営力強化資金を受けられないでしょう。

まずは粗くてもいいので作成してみてくださいね。

事業計画書テンプレート|日本政策金融公庫

先程もご案内しましたが、最終的にはあなたが作成した事業計画書は、認定支援機関のサポートを受けて完成させます。

5.中小企業経営力強化資金の5つの利用手順

5.中小企業経営力強化資金の5つの利用手順

中小企業経営力強化資金を利用するには以下の5つの手順が必要です。

【手順①】認定支援機関に相談

まずは認定支援機関に相談してください。

多くの税理士や公認会計士は、認定支援機関の資格を取得しています。

認定支援機関の選定方法ですが、「中小企業経営力強化資金」「中小企業経営力強化資金 サポート」といったキーワードで検索して表示された実績豊富な専門家に依頼するのがベストです。

検索システムで探す方法もありますが、専門家の実績が判断しづらいので、おすすめできません。

認定経営革新等支援機関検索システム

【手順②】資料作成・提出

融資申込には下記の書類が必要です。

書類名条件入手先
借入申込書必須公庫のホームページ
事業計画書必須公庫のホームページ
創業計画書これから事業を始める場合公庫のホームページ
試算表事業を始めている場合会計ソフトまたは顧問税理士
見積書設備資金を申込む場合設備資金の購入先
履歴事項全部証明書
または
登記簿謄本
法人の場合法務局
不動産の登記簿謄本
または
登記事項証明書
担保を用意する場合法務局
都道府県知事の推せん書生活衛生関係の事業で融資額が500万円を超える場合生活衛生営業指導センター

提出先はサポートを依頼した認定支援機関です。

もし必要書類について不安があれば積極的に相談してくださいね。

【手順③】面談

面談は担当者によって変わりますが、1~2時間程度です。

質問は、創業動機や強みなど創業計画書と事業計画書に記載したことがほとんどです。

創業計画書と事業計画書をしっかり作りこんで、内容を頭に入れておけば何も怖くありません。

【手順④】現地調査・審査

面談後には、事務所や店舗予定地への現地調査があります。

現地調査では「事業を始める準備をしているか」を確認したいのです。

よって、しっかり準備をしていれば問題ありません。

【手順⑤】契約・融資実行

審査に通ると、結果が郵送で通知されます。

契約時には、通知書類に同封されている借用証書や印鑑証明書が必要です。

人によって異なりますので、詳しくは通知書類を確認してみてくださいね。

契約後、3営業日後に入金されます。

6.中小企業経営力強化資金のまとめ

6.中小企業経営力強化資金のまとめ

中小企業経営力強化資金は、独創的なビジネスであることが前提ですが、以下のメリットがあります。

ただし、これらのメリットと引き換えに以下のデメリットがあります。

1,000万円を超える融資が必要で、独創的なビジネスを行い、報告などの手間を惜しまない方であれば、中小企業経営力強化資金はとても魅力的な融資制度です。

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