創業融資の審査では、事業計画書などで事業内容が融資に値するかどうかだけでなく、申請者に融資を行って問題ないかも大切な判断材料となります。
そこで用いられるのがCICから開示された個人信用情報。クレジットカードなどの利用情報から、融資を行った際にあなたが滞りなく返済を行ってくれるかどうかを判断します。
審査を受ける前にCICの見方を知り、自分の信用情報がどのようになっているか把握しておきましょう。
信用情報を入手するには
CICで個人信用情報を入手したい場合、所定の方法で開示請求を行えば誰でも自分の信用情報を入手することが可能です。
開示請求方法には、ネット開示・郵送開示・窓口開示の3種類から選ぶことが可能です。ネット上で開示してもらう場合には1,000円、郵送ならば1,000円+郵送代、窓口ならば500円の手数料が必要となります。
開示された信用情報には、クレジット契約に関する「クレジット情報」、クレジット契約の新規申込に関する「申込情報」、契約会社による照会に関する「利用記録」の3種類があります。
クレジット情報
クレジット情報を見ることで、自分がブラックリスト入りしていないかどうかを確認することができます。
クレジット情報には、あなたの生年月日や住所などの個人情報の他に、契約しているクレジットの契約内容や支払い状況などが記されています。クレジット情報は1契約につき1枚発行されるので、クレジットカードなどを複数契約している場合には、契約数と同じ枚数の報告書が開示されます。
まずこのクレジット情報で注目すべきポイントが、「入金状況」の欄です。直近24ヶ月分の入金状況が表で記されており、遅延なく入金されているか、未納の月はないかなどが記号によって確認することができます。
クレジット会社の請求通りに問題なく入金されている場合は「$」マークが記載されます。また、請求の一部しか入金されていなければ「P」マーク、契約者の都合により未入金だった場合は「A」マークが記載されます。この2つがたくさん記載されていると、返済にだらしない人だと思われるかもしれません。特に、「A」が3つ以上並ぶと3ヶ月以上滞納していることになり、ブラックリスト入りとなるため注意が必要です。
次に注目するのが、報告書の中央にある「お支払いの状況」の表の「26.返済状況(異動発生日)」の欄です。異動の記録がついている状態というのは、あなたがブラックリストに入っている状態を指しています。
CICが異動と判断する条件には、3ヶ月以上の延滞・破産手続開始決定・保証会社による代理返済が挙げられます。どれか1つでも該当した場合には、あなたの信用情報は傷がついた状態だと言えます。
そして最後にチェックするのが、「割賦販売法の登録内容」の表の「34.支払遅延有無」の欄と、「貸金業法登録内容」の表の「45.遅延有無」・「47.終了状況」です。
割賦販売法はクレジットカードに関する記述で、貸金業法はキャッシングに関する記述です。どちらも遅延がないに越したことはありません。
また、「貸金業法登録内容」の表の「47.終了状況」に「本人以外弁済」「貸倒」「法廷免責」と書かれている場合はブラックリストに載った状態なので、創業融資で資金調達することは難しくなるでしょう。
申込情報
クレジットカードやキャッシングを新規に申込んだ場合、申込まれた会社は個人信用情報を照会し、登録することが義務付けられています。この新規申込時の照会記録が申込情報です。
申込情報には、登録元会社名・契約者氏名・生年月日・郵便番号・電話番号・照会日時などが記されています。
申込情報は照会日含めて6ヶ月間記録が残り、創業融資の審査の際にもチェックされる項目となっています。
短期間でたくさん申込みを行っていることがわかると、「必死に金策している状態ならば融資をするのは危険ではないか」と思われてしまうかもしれません。
また、クレジットカードなどの審査が通った場合には、必ず先述したクレジット情報が作成されます。申込情報はあるのにクレジット情報がないとなると、そのクレジットカードの審査は落とされたのだとわかってしまいます。他社の審査で落とされたとなると、印象はあまりよくはないでしょう。
審査に不利になると考えられるようなことが申込情報に記載されている場合は、記録が残る6ヶ月間を過ぎてから創業融資の申込みを行った方が得策かもしれません。
利用記録
利用記録には、申込情報同様にクレジットカード会社などが契約者の信用情報を照会した記録が記載されています。ただし、申込情報は新規契約時の照会だったのに対し、利用記録は契約途中の照会を記録しています。
クレジットカード会社などが契約途中であなたの信用情報を確認するのは、他社の借入状況や返済状況を参考にして、契約の更新や利用限度額の増減を検討するためです。
利用記録も申込情報と同じように、照会日時を含めて6ヶ月間は記録が残るようになっています。
契約途中の信用情報の確認頻度はカード会社によって異なるため、利用記録にたくさん記載されていたとしても特に問題視はされません。
創業融資を申込む前にCICをチェックしよう
創業融資の審査を通過するために一生懸命事業計画書を作成したとしても、あなた自身の信用情報に問題があれば大変だった準備も水の泡となってしまいます。そうならないためにも、まずは自分がどのような状況なのかを予め確認しておく必要があります。
資金調達を検討し始めたら、まずはCICに個人信用情報を開示してもらい、自分がブラックリスト入りしていないか確認しておきましょう。
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