会社を設立したいと考えている人や独立を考えている人にとって、非常に頭が悩まされる問題のひとつが、資金をどのようにして集めるのかといった問題です。もともと、会社を設立・運営できるほどの資金を保有している人は、あまりいません。今回は、そのように会社を新しく創業したいと考えている人々にとって役立つ資金調達の方法と、その申請に必要な創業計画書について紹介します。
創業時の資金調達
新しく会社を設立して開業しようとするか、あるいは独立を考えている場合に、多くの人々が資金調達について悩まされます。開業に至るまでの間や開業して間もなく事業が軌道に乗る前、売り上げが伸び悩んでいる場合は常に資金が不足している状態に悩まされることとなります。手元の資金だけで事業を運営して行こうと考えるならば、大量のまとまった資産を保有しているか、すべての活動を低コストで行うことを徹底させなければならず、非常に難しいです。ここで資金調達が必要となるのですが、その方法としては、おもに出資や個人借入、融資や補助金、助成金などがあげられます。それぞれの資金調達方法にメリット・デメリットがありますが、すべての企業が同じように支援を受けることができるかというとそうではありません。多くの銀行や民間の金融機関では、創業間もなく信用がない企業に対しては融資に消極的であり、資金が集まらないということが一般的です。
そのような現状を変えていくために生み出されたのが、日本政策金融金庫の新創業融資制度です。新創業融資制度は、政府系金融機関が国の政策のもと、新しい会社(産業)を生み出して、育てることをミッションとして融資する政策です。上限は1000万円で、金利は1.25?3.00%で、原則設備資金ならば15年以内、運転資金ならば5年以内の融資を受けることができます。創業融資の大きなメリットは、大きくみっつあります。ひとつが創業前に申し込みができることであり、ふたつめが融資実行までの期間が早いということ、そして無担保・無保証で出融資を受けることができることです。多くの融資制度は、開業後1年ほど経たなくては融資を受けることができません。また、融資の審査に2・3カ月ほどかかることがざらにあります。創業時は、スピードやタイミングが重視されることもあるので、創業前から申し込めて、審査が1カ月ほどで終わる創業融資は、非常にメリットが大きい融資ということが可能です。そして、一般的な融資では代表者個人が保証人になるか、資産を担保とする必要がありますが、この制度ではそれらは必要ありません。
このように様々な面でメリットが大きい新創業融資制度を活用するためには、いくつかの要件を満たす必要があります。ひとつが融資される金額と同額の自己資金を持っていることです。そして、確実で客観性の高い事業であることが読み取れる創業計画書を作成していることです。
創業計画書とは
創業融資を受けるためには、日本政策金融金庫の各支店の国民生活事業において申請をしなければなりません。その際、見積書や登記簿謄本などの書類が必要となるのですが、最も審査の判断に関わり重要となるものが創業計画書です。新創業融資制度に限らずに、あらゆる融資の審査を通過するためには、創業計画書をうまく作成する必要があります。創業計画書とは、どのような事業を行い、その際に必要となる資金や資金を借りた場合の具体的な返済の目途がどれほどあるのかを示すものです。言い換えるならば、お金を返すことができる根拠を伝える書類です。開業したばかりであると、過去の実績がなく、利益を出せるかどうかが分からないので、業種経験の豊富さや熱意・やる気を伝えることが主になります。そうはいっても、どのように記載して行けばよいのかわからないというものでもあるので、多くの場合は創業計画書の見本・テンプレートを利用して、それに沿って記入していくこととなります。ただし、見本の通りに記入したり、ただ空欄を埋めるだけの作業をしていては、融資審査に合格する可能性は低いです。しっかりとポイントを掴みながら書いていくことが重要となります。
創業計画書の具体的な中身
創業計画書の内容は、主に8つの項目から成り立ちます。創業の動機からはじまり、経営者の略歴、取扱商品・サービス、取引先・取引関係等、従業員、借入状況、必要資金と調達方法、事業の見通しがそれに当てはまります。この中でもとくに重要となるのが、創業の動機と経営者の略歴、必要資金と調達方法、事業の見通しです。重要項目から、創業に対する経営者の想いやその実現能力を図るとともに借入を返済できるかどうかを判断されます。そのため、これらの項目は特に具体的に書くことが勧めらます。
創業の動機と経営者の略歴などでは、強い動機ややる気と熱意を伝えるために、できる限り漠然としたものではなく具体的に、かつこれから展開していく事業に関連していく経歴を詳しく記入していくことが重要です。
取扱商品・サービスや取引先・取引関係等の項目は、他社との違いや特徴に加えて、どれだけの売り上げを見込んでいるのか、そしてそれを誰にどれだけ仕入・外注し販売するのかを詳細に記入します。
必要な資金と調達方法については、具体的な数字を盛り込んで書くことが必要です。事業で使うお金の全容とその資金をどこから調達するのかを書くのですが、それぞれ項目を細かく記し、最終的に両者の金額が一致していなければなりません。
最後が事業の見通しですが、創業当初と軌道に乗った後とに分けて、それぞれ大まかな損益計算書を作成します。ここで計算された利益から返済することになるので、各数字は根拠を具体的にして、誰に聞かれた場合でもスムーズに答えることができるような状態にしておくことが望ましいです。
この創業計画書には、見本が存在していますが、それにこだわる必要はありません。より具体的で根拠のある内容を伝えるために添付資料を用意して客観性の高いものを製作することが重要です。
創業融資を受けるための創業計画書
開業したばかりは、資金調達が必要となります。資金調達の方法のひとつとして、創業融資があるのですが、この審査を合格するためには創業計画書を具体的な数字を盛り込み、客観性をもって詳細に制作することが必要です。創業計画書には、見本となるものがあり、いくつかの項目に分けられているのですが、動機や略歴、必要資金とその調達、見通しを具体的に書き、返済できることをアピールすることが勧められます。
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