新たに事業を始める際には、ある程度まとまった額の資金が必要になってきます。自己資金だけで少し心細い場合、金融機関などから融資を受けるのも1つの方法です。今回は、金融機関の融資でもよく登場する信用保証協会のサービスを取り上げて、融資の仕組みについて解説していきます。資金調達の方法を考えている方は、今後の参考にしてみてください。
信用保証協会のサービスは金融機関の融資にも利用されている!
信用保証協会は、金融機関などから融資を受ける際に利用者に代わって債務を保証してくれる公益法人です。事業を始めたばかりの時期は、銀行や信用金庫などの金融機関から融資を受けたくても、なかなか審査に通らないことがあります。実績のない会社に融資をすることは、銀行や信用金庫などの金融機関にとってもリスクが高いため、創業したばかりの中小企業などは資金調達に苦慮することが出てきます。金融機関ではプロパー融資なども行っていますが、このような融資は実績を積んでからでないと利用が難しいのが現実です。信用保証協会は、こういったときに利用者と金融機関の間に入り、債務を保証する形をとるわけです。信用保証協会が債務を保証してくれれば、金融機関としても貸し倒れなどの融資に伴うリスクが少なくなります。したがって、あまり実績がない会社の経営者に対しても、リスクを抑えて融資ができるようになります。中小企業の資金調達の際に、広く利用されているのが信用保証協会のサービスなのです。
保証があるといくらぐらいの融資が受けられる?
資金調達を容易にしてくれる信用保証協会のサービスも、無尽蔵に利用ができるわけではありません。実際、信用保証協会が保証する金額には、限度額が設けられています。例えば、何らかの担保がある場合は2億円が限度額になります。ちなみに、担保がないときの限度額は8,000万円です。現実にいくらぐらいの保証が受けられるかは、その会社の経営状況や返済能力、資金の使い道などによって変わってくるでしょう。信用保証協会の平成26年度の実績を見ると、1番多かったのが1,000万円から2,000万円までの金額を保証したケースです。2番目に多いのは、3000万円から5,000万円までの保証となっており、保証実績の半数以上は5,000万円以下という結果になっています。保証を行った金融機関の中でもとくに目立つのが、地方銀行や信用金庫。このような金融機関から資金調達をする際には、信用保証協会のサービスが広く利用されている状況です。信用保証協会では、保証額を決める際に独自のチェックを行っており、まずは審査をクリアすることが経営者の課題になるでしょう。
特別枠で保証額が増えることもある!
こういった信用保証協会の保証には、特別枠が設けられています。特別枠が適用されると、通常よりも保証を受けられる金額が増えます。特別枠には2種類あり、条件に該当すればより多い金額を保証してもらうことができるわけです。例えば、リーマンショックなどの経済危機が起こったときに設けられるのが、時限措置としての特別枠です。日本経済全体が危機に直面しているといった場合、期間を限定してこのような特別枠が設けられることがあります。また、中小企業新事業活動促進法の認定を受けるなど、経営態勢が評価された企業に対して、保証する額をアップするのが恒久措置の特別枠です。特別枠が設けられれば保証される金額も上がるため、金融機関からもより潤沢な融資が受けられるようになります。恒久措置の特別枠はある程度実績が必要になりますが、時限措置の特別枠の場合は、事業を始めたばかりの経営者でもタイミング次第では利用できる可能性があります。信用保証協会のサービスを利用する際にも、タイミングは1つのポイントです。
融資を受ける際には貸付の利率がポイントになる
事業を始めたばかりの経営者が資金調達をする方法としては、国や県の制度融資や、日本政策金融公庫が提供している新創業融資制度などの創業融資を利用するという方法もあります。こういった融資制度は、担保や保証人なしで利用ができることが多く、中小企業の経営者にとっても便利なサービスと言えます。ただ、このような制度を利用するに当たってチェックしておきたいのが、貸付の利率です。無担保や保証人なしで利用できる融資は、一般的に利率が高く設定されています。制度融資や日本政策金融公庫の融資は概して利率も低めですが、その分借りられる限度額が少なめです。したがって、まとまった金額の資金を調達したい場合は、信用保証協会のサポートを得て金融機関から融資を受ける方法も考えてみる価値があるでしょう。担保などを提供することができれば、金融機関の融資もより低い利率で利用できる可能性がでてきます。貸付の利率や融資を受けられる金額などを見比べてみて、ベストなサービスを選ぶのがよい方法になるでしょう。
信用保証協会の保証が得られれば融資の選択肢が増える!
ご紹介したような信用保証協会のサービスを利用できるようになれば、資金調達の選択肢が多くなります。貸付の利率などを比較して、より有利になるような選択をすることも不可能ではありません。いずれの方法をとるにせよ、融資を考えているときにはやはり明確な事業計画を立て、経営状況をよくしておくことが必要になります。しっかりと準備を行って、便利な融資制度を利用していきましょう。
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