経理業務の効率化ツール10選|減らしたい作業別の対応表

経理の負担を減らすために、減らしたい作業から選ぶ経理効率化ツール10選
この記事の監修者

荻野岳雄
税理士法人JNEXT 代表社員

税理士/国税局OB。税理士法人JNEXT代表として中小企業の税務・経営支援に従事。DXを軸にした経営改善や税務戦略を得意とし、実務に基づく発信をYouTubeなどでも行っている。

毎月の仕訳入力や請求書の処理に追われ、「経理をもっと早く終わらせたい」と感じていないでしょうか。
手作業が多い状態を放置すると、入力ミスが増えます。
月次決算も遅れ、経営判断に必要な数字を把握しにくくなるでしょう。

経理向けのツールには、会計ソフト、経費精算システム、請求書受領システムなどがあります。
ただし、多機能な製品を選べば解決するとは限りません。
製品ごとに減らせる作業が異なり、知名度や機能数だけでは手入力や確認作業が残る可能性があるためです。

そこで本記事では、経理の困りごとと必要なツールの対応関係を先に示し、代表的な10製品を紹介します。
自社で時間がかかっている作業から、比較する候補を絞る際にお役立てください。

目次

経理効率化ツールは「減らしたい作業」で決まる

ツールを探す前に、毎月どの作業に時間がかかっているかを確認します。困りごとから逆算すると、必要なツールの種類が見えやすくなります。
減らしたい作業と、候補になるツールの対応は次のとおりです。

減らしたい作業ツールの種類
銀行明細やカード明細の手入力クラウド会計ソフト
領収書の転記や申請の差し戻し経費精算システム
紙・メール・PDFで届く請求書の回収請求書受領システム
請求書の印刷、封入、送付請求書発行システム
複数システムへの転記や定型集計RPA

【迷ったときに最初に答えたい3つの質問】

  • 月間の処理件数が最も多い作業は何か
  • 同じ情報を2回以上入力している場所はどこか
  • 経理処理を止めている待ち時間は何か

たとえば、仕訳入力が多いならクラウド会計ソフトが候補です。
一方、請求書が各部門へ届き、経理が回収に追われている場合は、請求書受領システムから検討した方が負担を減らしやすいでしょう。

経理業務を効率化する代表的なツール10選

ここからは、前述した5種類のツールから、代表的な10製品を紹介します。

掲載順はランキングではなく、特定製品の利用を推奨するものでもありません。
本記事に記載した主な機能は、2026年8月25日時点で各社の公式サイトを確認したものです。
利用できる機能・対応範囲・料金・利用条件は、契約するプラン、オプション、連携先によって異なります。
導入前に各社の公式サイトと見積もりで確かめてください。

クラウド会計ソフト|明細の取込から仕訳・集計へつなげる

クラウド会計ソフトは、銀行やクレジットカードの明細を取り込み、仕訳や帳票作成へつなげる経理の土台です。
周辺ツールとの連携範囲によって、手入力を減らせる度合いが変わります。

【代表的なクラウド会計ソフト】

  • freee会計
    銀行や決済サービスなどと連携し、取引の自動登録に対応しています。
    受け取った領収書や請求書を、スマートフォンのアプリで読み取る機能もあります。
  • マネーフォワード クラウド会計
    明細連携、仕訳、帳票作成、経営レポートに対応しています。
    同社の請求書・経費・給与サービスとの連携も比較材料になります。
  • 弥生会計 Next
    取引データの取得、仕訳、帳簿・決算書作成に対応する法人向けサービスです。
    請求、経費精算、証憑管理のデータも連携できます。

会計ソフトを詳しく比較するときは、中小企業向け会計ソフトの選び方もあわせてご覧ください。

経費精算システム|領収書の入力と申請・承認をまとめる

経費精算システムは、従業員による申請、上司の承認、経理の確認を一つの流れにします。
経理だけでなく、申請者と承認者の作業も変わるツールです。

【代表的な経費精算システム】

  • 楽楽精算
    領収書の読み取り、申請・承認、自動仕訳に対応するサービスです。
    ルールに反する申請を自動でチェックする機能や、会計ソフトに合わせたデータ出力も備えています。
  • TOKIUM経費精算
    スマートフォンでの申請・承認、領収書のデータ化、会計ソフトとの連携に対応するサービスです。
    領収書の原本についても、突合や保管を任せられます。
    回収用ポスト代は別途必要です。

経費精算の流れそのものを見直したい方は、経費精算を効率化する方法をご参照ください。

請求書受領システム|回収から支払い準備までをつなげる

請求書受領システムは、紙、メール、PDFなどで届く請求書を集約します。
データ化だけでなく、承認、仕訳、振込データ作成までの対応範囲が比較点です。

【代表的な請求書受領システム】

  • バクラク請求書受取
    請求書の回収、AI-OCRによるデータ化、申請・承認、仕訳や振込データの作成を支援します。
    既存の稟議や会計システムとの接続方法も確認したい製品です。
  • Bill One請求書受領
    さまざまな方法で届く請求書を代理受領し、データ化して一元管理するサービスです。
    部門や拠点ごとに届く請求書を集約したい企業の候補になるでしょう。
  • invox受取請求書
    請求書のデータ化から仕訳・振込データ作成までを支援する仕組みです。
    AI-OCRのみで処理する方法と、オペレーター確認を組み合わせる方法から選べます。

請求書や仕訳を含む自動化の全体像は、会計業務を自動化する方法と注意点で確認できます。

請求書発行システム|印刷・封入・送付を減らす

請求書発行システムは、請求データを取り込み、取引先に合わせた方法で帳票を届ける仕組みです。
定期的な発行件数が多い企業ほど、削減できる作業を見つけやすい分野といえるでしょう。

【代表的な請求書発行システム】

  • 楽楽明細
    請求書、納品書、支払明細書などを発行するサービスです。
    Web、メール添付、郵送代行、FAXから発行方法を選べます。

販売管理システムから取り込めるデータ形式と、現在の帳票レイアウトを再現できる範囲まで確かめると、導入後の手戻りを防げます。

RPA|既存システムをまたぐ定型操作を自動化する

RPAは、人がパソコン上で繰り返している操作を自動実行する仕組みです。
各システムに直接連携する機能がないときも、転記や集計を減らせる場合があります。

【代表的なRPA】

  • WinActor
    マウスでフローを描いて操作手順を作成でき、プログラミングの知識は不要です。
    請求書処理や勤怠データの集計、定例レポート作成などのテンプレートも用意されています。

ただし、画面が変更されると処理が止まることもある点には注意が必要です。
導入時は、自動処理の作成者だけでなく、停止時に対応する担当者も決めておきましょう。

経理効率化ツールの種類を絞るときに確認したい3点

製品ごとの詳しい比較軸は既存記事へ譲ります。
ここで押さえたいのは、ツールの種類を選ぶ際に欠かせない次の3点です。

作業時間と件数を同じ期間で測る

「入力が大変」といった感覚だけでは、どのツールを優先すべきか判断できません。
1か月など期間を決め、作業時間と処理件数を記録します。

【記録する項目】

  • 対象業務と担当者
  • 1か月の処理件数
  • 入力・確認・差し戻しにかかる時間
  • 処理の遅れやミスが発生した回数

時間と件数を把握しておけば、導入後も同じ条件で効果を比べられるでしょう。

自動化する工程と人が確認する工程を分ける

OCRやAIが作成した内容を、そのまま確定できるとは限りません。
金額、税率、振込先、勘定科目など、誤りの影響が大きい項目には確認者が必要です。

デモでは読取速度だけでなく、原本と結果を見比べやすいか、警告から修正へ進みやすいかも試してください。
実際の効果が分かるのは、確認を含めた時間で比べたときです。

経理以外の人の作業も減るか確かめる

経費精算や請求書処理には、経理だけでなく、申請者や承認者も関わります。
経理の入力が減っても、現場の申請が複雑になれば、会社全体では効率化できません。

候補を試す際は、経理担当者だけでなく、申請者と承認者にも操作してもらってください。
確認したいのは、スマートフォンでの入力、通知、差し戻しの流れです。

機能、連携、費用、操作性などの比較項目は、経理システム比較の進め方にまとめています。
種類を決めた後の製品比較にお役立てください。

法令対応はツールの機能と社内運用を分けて考える

電子メールやWebでやり取りした請求書、領収書などの電子取引データは、電子データのまま保存する必要があります。保存時には、改ざん防止や検索などの要件に沿った運用も求められます。

インボイス制度では、仕入税額控除を受けるために、帳簿とインボイス(適格請求書)などの保存が原則として必要です。
登録番号の照合や税率ごとの記録を補助する機能は、確認作業を軽くする助けになるでしょう。

ただし、「対応」と表示された製品を入れるだけで、自社の法令対応が完了するわけではありません。決める必要があるのは、対象書類、保存場所、訂正方法、権限、そして税務調査時の出力方法です。

保存ルールの全体像は、電子帳簿保存法対応チェックリストをご覧ください。
書類ごとの保存方法は、証憑の電子保存で説明しています。
個別の税務判断については、税理士などの専門家に相談すると安心です。

ツールは小さく試してから利用範囲を広げる

ツールの種類と候補が決まっても、全社へ一度に導入する必要はありません。
まずは負担の大きい業務を一つ選び、実際の処理に近い条件で試すのが安全です。

【導入時の要点】

  • 一つに絞る
    月間件数と作業時間が多い業務から対象を決める
  • 同じ条件で試す
    候補を2〜3製品に絞り、同じデータで比べる
  • 前後で測る
    導入前後の時間、差し戻し、締め日数を比べる

試用時は見本の画面を見るだけでなく、形式の異なる請求書や複数の承認経路など、自社で実際に起きるケースを再現します。
実際の請求書などを試用環境へ登録する場合は、データの取扱条件も事前に確かめましょう。

詳しい進め方は、経理を効率化したい経営者が知るべき手順と注意点をご覧ください。
導入時の失敗は、中小企業のシステム導入が失敗する原因で段階別に解説しています。

人手不足が課題なら経理の外部委託も候補になる

ツールは定型作業を減らせますが、日々の処理を担う人がいない問題までは解決できません。
人手不足や属人化が深刻なら、記帳や請求書処理などを外部へ委託する選択肢もあるでしょう。

社内に残す判断業務と外部へ任せる作業を分け、必要なツールと組み合わせるのがポイントです。
詳しくは、会計業務アウトソーシングとはをご参照ください。

まとめ|経理効率化ツールは作業との対応関係から選ぼう

経理効率化ツールは、製品名からではなく、減らしたい作業に対応する種類から選ぶと候補を絞りやすくなります。

【作業とツールの対応関係】

  • 明細入力を減らす:クラウド会計ソフト
  • 領収書の転記と差し戻しを減らす:経費精算システム
  • 請求書の回収と入力を減らす:請求書受領システム
  • 請求書の印刷と送付を減らす:請求書発行システム
  • システム間の転記を減らす:RPA

まずは1か月分の作業時間と件数を記録し、最も負担の大きい業務を一つ選んでください。
その業務に対応する種類から2〜3製品を試すと、機能数や知名度だけに左右されにくくなるでしょう。

ただし、経理は会計処理、社内の承認、法令対応がつながっています。
部分的なツール導入だけでは手作業が残る場合もあり、業務全体を見た判断が必要です。

JNEXTグループでは、業務フローの見直しからクラウド会計の導入までを支援しています
既存システムとの連携や、自社に合わせたシステム開発にも対応しています。
自社に必要なツールや改善範囲を整理したい方は、無料相談・お問い合わせからお気軽にご相談ください。

この記事で述べた保存やインボイスの決まりは、次の一次情報が根拠です。

【この記事の根拠にした一次情報】

制度情報と製品情報は2026年8月25日時点で確認しています。
製品の機能や提供条件は変更される場合があります。
税務上の個別判断は、税理士などの専門家へご確認ください。

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この記事を書いた人

JNEXTグループ編集部は、税務・会計・労務・DXなどの複雑な情報を、初めての方にも分かりやすく届けることを目的に活動しています。税理士、社会保障監修のもと、正確で実務に役立つ内容を丁寧に解説し、読者の不安を少しでも減らせる記事づくりを心がけています。

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